The Sick Child I by Edvard Munch

壊れていく親を見ていた子ども

祖父が死んだあと、父は変わった。 はじめに父がしたことは、外につながる家中の出入り口にセンサーを付け始めたことだった。玄関を開けるたびにコンビニの入店音みたいな音がするのが、子ども心にすごく嫌だったのを覚えている。まるで...

angelic statue and sunset scenery

当たり前は終わってしまうということ

祖父について語ることはそう多くない。というのも大半が「厳しかった」という印象だけで、記憶に残っているものが少ないからだ。だが家父長制の権化のような祖父が作り出した環境は、安定的な母親が傍にいたにもかかわらず、僕の愛着形成...

view of ocean during golden hour

大人のために「使われた」思い出のひとつ

「書くこと」の原点は虐待的な思い出からスタートする。 僕は父親に虐待を受けてきたが、祖父もまた厳格で前時代的で、虐待的な人間だった。家庭内で世代間連鎖が起こっていたと理解できたのは、大人になって随分経ってからだった。 祖...